
始まった連鎖は余りにも緩慢で、最初はそれと気づくことなく、何とも思わず考えず、日常の極めて平凡な風景でしかなく、今日一日でまたいだ小石の数や線の数のように、思ったことないくらいにどうでもいいことで、だから気がつくことはなかった。
連鎖はそうやって少しずつ動きを確立した。誰にも気づかれることなく、というより気づいていても意識されることなく、ジワジワとゆっくり確実に目的を持って、連鎖が始まっていた。
誰にも止めることができない連鎖は、空間内に方向性を持っている。空間に方向性を生み出すのは螺旋。螺旋は、それ自身とは逆向きの方向性を生み出す。
人間は螺旋状に未来へ進む。
そして時間は過去へ向かう。
人間が螺旋状に未来へ向かうから、時間が過去へ、螺旋の中央を直線的に過去へ向かう。
視点を変えると、個人の主体的時間を中心にして時間概念という引力が現実と自己を繋ぎ止め、時間から離れた夢が斥力となりバランスが生まれて、結果として現実時間に方向性が生まれたとも見ることができる。そして主体的時間なのでバラバラに発生している時間概念を、共同幻想で束ねることで、大きな時間概念の世界を作り出し、方向性を定めて螺旋の直径を大きくし、地球全体の時間の流れを制御しているのだ。
しかし緩慢であった時間の流れは、物理的移動時間の短縮が始まったころから速くなり、さらに情報量の増大と、時間単位に於ける情報生産や消費の爆発で、一気に収斂を始めているのだ。緩慢だった時間公転の速度は目に見えて速くなり、やがて現実引力の力を越え、フライバイの如くその引力を自らのエネルギーに変換して、やがて飛び出して行くことだろう。
その先は、次の宇宙のビッグバンか。
それとも、満ち足りた無か。
次の連鎖の始まりになる。