
三月から四月、世間的にも年度が替わるため、生活環境がガラリと入れ替わった方もいる時期です。春ですね。春だと思った途端、いきなり寒くなって四月も中旬に差し掛かろうというときに雪が降って驚きました。おかげで数年ぶりに風邪をひいて二度びっくり。すぐに治りましたが、珍しいことがあるものです。
前回の更新から、一月半を過ぎようとしていますが、状況はかなり変化しています。今月頭にiPadを手に入れて、触り倒してその可能性にゾクゾクしていたら四月八日に発表になったiPhoneOS4。これで実装されるiAd。これは待ち望んでいたものです。昨年からコンテンツのブランディング化を主軸に考えてビジネスモデルになるしっかりした基盤の方法論を模索していたのですが、iAdはその部分をしっかりとフォローしてくれる仕組みです。iAd+iPadの組み合わせで見えるインパクトは、広告業界を震撼させますし垂涎ものでもあります。立場上、諸手を上げて賛成できないが、密かに拍手を送っている人は多いです。
相変わらず無いのは目先の生活のための金だけで、なんとか動くのは動けていますので、使えるコネは最大限に使うべくいろいろな人に話をしていって協力を取り付けていっています。それで順次形にして、今年の秋にiPadのiPhoneOSが4にアップデートされるのと同時期に、リリースしていく予定です。
システム側の都合もよく理解していますし、ネットワーク側の仕組みもよく理解しています。そもそもデザイナとして様々なものに携わってきているので、ユーザインタフェイスが必要とされる対話的なものは、それなりにできるつもりです。また、広告業界にも音楽業界にも出版業界にも放送業界にも中途半端に関わっていたため、それぞれの都合も、事情も、理解できます。その背景にあるものも知っています。
それぞれの立場にあって、動けない事情がわかった上で、ボクは胸襟を開く以外に何もできることは無いと開き直って話に言って、話を聞いてもらい、マンパワーの協力を取り付けられました。ゲリラ的にフレキシブルに動くことができて、なおかつしがらみが全く無いからこそできる立ち位置ということを、周囲の人たちも理解してくれています。茶々を入れるだけ入れて、対岸に引き下がっていく人もいますし、失敗したらほらみたことかと言い出す人もいるかもしれません。あからさまに正しいことだけを正しいからと言ってやっていられるなら、それもいいのかもしれませんが、ボクには不向きです。
なんだかんだと役所関係金融関係に行くと、失敗者には厳しいなと思いますが、そういう土壌があるのは否めませんし、それを否定するつもりもありません。失敗していても同じ土俵に立って、勝てば官軍ってのがこの国でしょう。環境や社会に文句はありません。また、群れて他人を批判する集合意識にも文句はありません。閉鎖的になり、流動性が無くなった集団は、敵を作ることでその結束力を高めるものです。そういう習性、あるいは反応と思うだけです。
思ったことが思ったように行くだけの人生なんて、先が読めてつまらないなと思って生きてきましたが、読めなさすぎて振り回されて、楽しすぎて落ち着く余裕がまるでありません。本当に笑えるほどギリギリの綱渡りなので、これはまた十年後とかに思い出したらさぞや楽しいだろうなと、我がごとながら妙に客観的になっています。
でも自分の見ているものを人に語ってる時は、かなり「熱く」語ってるようなので、ちょうどいいバランスかなと思います。理解されない悔しさと、理解して質問してさらに理解を深めて「自分の出番まで待っている」と言ってもらえた喜びとで、一喜一憂しながらとにかく前進はしています。資本的体力のあるところがやってきたら、ひと波でボクは吹き飛ばされてしまうかもしれませんが、今できることはこれしかないのと、これをやらなかった時のあとの後悔を考えると、絶対にあとには引かないし、引くわけにはいかないところなのです。ゼロ年代は辛酸を舐めた時代でしたが、それは糧になり、この十年代の未来を形にするためのものだったと言うための、過程に居るのです。
この楽しさって、体性感覚によるものが多分にあるので、本当に伝わる人と伝わらない人とバラバラです。CD聴く音楽とライブで聴く音楽と演奏する音楽って同じ曲でも全部違うけど、これは体感しないとわからないけど、一度体感すればそれなりに納得できる、そういう感じのものです。
そいう感覚の部分に製品を突っ込んできて、最初は「売れるわけが無い」と世界中で言われていたにも関わらずもう間もなく一億台を突破しようとしているiPhoneは、ものとして凄いと言わざるを得ない。日本国内でのiPhoneの普及はだいたい三年で浸透した感がありましたが、iPadはそれを凌駕する可能性が十二分にあります。携帯電話のカテゴリでもパソコンのカテゴリでもなく、ネットワークを楽しむデバイスというカテゴリです。それも説明書無しにね。優れたユーザインタフェイスに優れた製品、なんで日本製じゃないんだ?とアメリカのハッカーが何かで書いてました。日本人から見たら、なんでユーザが求める機能を求めるだけ付けないんだ?というところでしょう。ワンセグも無ければFMラジオも無い。そんなiPhone売れるわけないだろ、というのがiPhone登場直前の日本最大キャリア幹部の発言です。
日本企業は消費者に弱いのです。要求されたら要求された分、機能を追加します。さらに要求の先読みをして追加します。Apple製品は基本的に消費者の意見を聞くだけで反映するかしないかは、また別の話です。とにかく確固たるポリシー(曖昧なジョブズの主観)でのみ動いています。独善的?いいじゃない、楽しいんだから。
ブツブツ愚痴を垂れ流しながら日々生きるより、やりたいことをひたすらやっていく方が楽しいに決まってるじゃない。失敗をいっぱいして、悔しい思いしたり反省したりしながらでもまた前に進んでいった方が、歳取ったときに思い出せることがいっぱいあって、老後だって楽しいじゃないか。